2005年度 信号処理 3年生Aコースの 試験結果の詳細と成績

  このページでは,2005年7月27日実施のAコースの試験について,その結果の詳細を お伝えするとともに,教務課に報告する最終的な成績をお知らせします.

採点とデータ処理作業,および模範解答作成作業がすべて終了しました(8/1,20:00). 大学の成績処理システムへの成績入力を完了しました(8/1,21:00). 成績発表の期日になって,みなさんが成績表を参照すると, このページの成績と同じものが出てくるはずです. もし相違がある場合は,私の入力ミスですので,申し出て下さい.

模範解答(簡単な解説つき)も,このページで公開しています. 学期中,本来であれば,もっと演習の時間を増やして,問題の解き方の解説をしたいのですが, どうしても時間が足りません.この模範解答と解説に力を入れているのは, それを少しでも補おうという意思があるからです. また,試験はやりっぱなしではなく, 学習が不十分だった部分をもう一度勉強するきっかけとなるべきだと考えるからです.

以下の表を見れば,自分の間違えた問題が具体的にわかるはずですから, 特に,出来たつもりでいても得点できていない問題についてはチェックをしてみて下さい. また,完答出来た問題についても,皆さんが90分間熟考した問題ですので,解説を見ながらもう一度考えてみることで, 信号処理に対する理解がさらに深まるはずです.

なお,模範解答に手書きで書き込んだメッセージとは別に, このページの表の下にも問題の解説やコメントがありますので,そちらも御覧下さい.


2005年度「信号処理論(Aコース)」の模範解答と皆さんへのコメント 1ページめ. 2ページめ. 3ページめ.

総合点成績個人識別番号試験得点問題1問題2問題3問題4問題5問題6備考
下記参照 6桁生の点不規則信号z変換逆z変換Dフィルタ収束領域不規則 
   満点->1005,5,5,10,55,55,5,55,5,5,51015 
   模範-> 解答1解答2解答2解答3解答3解答3 
106709095 780,3,5,10,55,55,5,23,5,5,510 5編入生
105303323 805,5,5,10,55,55,0,15,5,5,5 7 7 
101290013 735,3,5,10,55,15,5,03,5,1,510 5 
098128407 743,1,0,10,55,55,5,53,5,5,5 210編入生
097821018 725,3,5,10,55,15,5,53,5,0,5 5 5 
096381339 725,3,4,10,05,25,5,53,5,5,510 0 
095290195 710,5,5,10,55,15,5,53,5,4,5 0 8 
095251657 685,3,5, 5,55,45,5,53,5,5,2 0 6 
094122529 715,5,5,10,55,45,5,53,5,4,5 0 0 
092501393 655,4,5,10,04,53,1,53,5,0,510 0 
091290160 685,5,5,10,05,15,5,13,5,4,5 0 9 
089427613 625,0,0,10,55,45,5,33,5,0,5 2 5 
088515151 610,5,5,10,05,55,1,53,5,2,5 0 5 
088150815 615,5,3,10,05,55,5,13,5,3,5 0 1 
087581205 590,5,5, 5,05,55,5,53,0,0,5 5 6 
086619626 620,5,5, 0,55,35,5,43,5,5,5 0 7 
086595903 585,0,3,10,55,55,5,53,0,1,2 0 4 
086445445 630,5,5,10,55,55,5,03,5,5,5 0 0 
085580925 585,5,0,10,55,05,5,13,5,0,2 2 5 
084719106 610,5,5,10,55,05,5,03,5,0,5 5 3 
084310117 605,4,5, 5,05,45,5,53,0,0,0 212 
083555313 590,5,5,10,55,05,1,53,5,0,5 0 5 
082052466 595,4,5,10,55,15,5,00,0,0,2 012 
081310074 575,4,0,10,05,55,5,53,5,0,5 0 0 
079003434 680,5,5,10,05,25,5,53,5,5,0 013 
078839360 530,3,5,10,55,25,5,03,5,0,5 0 0 
078257102 594,3,5,10,55,55,5,50,5,0,2 0 0 
077571023 500,3,5,10,05,25,5,53,5,0,2 0 0 
076540711 525,3,5, 5,05,10,5,03,5,0,510 0 
076129384 540,0,5, 5,55,45,5,53,5,0,5 0 2 
075893653 510,4,0, 5,55,55,5,53,0,5,2 2 0 
075156077 530,5,5,10,05,44,5,50,5,0,2 0 3 
074011111 500,0,5,10,55,33,1,53,5,0,5 0 0 
073170734 510,5,0,10,55,15,4,03,5,1,5 2 0 
072600315 505,5,5,10,05,05,5,03,5,0,1 1 0 
072222222 520,0,5,10,55,53,1,53,5,0,5 0 0 
071033179 440,3,5, 5,05,15,5,33,0,4,2 0 3 
070584288 525,3,3,10,54,04,5,03,5,0,5 0 0 
070412372 460,3,0,10,55,00,1,53,0,0,410 0 
070130024 480,2,2, 0,05,45,5,43,5,4,2 7 0 
070000526 475,3,5, 0,05,20,5,53,4,0,5 0 5 
069257257 450,5,0,15,55,10,1,03,5,0,5 0 0 
068379654 500,0,3,10,54,00,5,33,0,0,010 7 
068198406 430,3,3, 5,05,35,5,50,5,0,2 0 2 
067753097 400,3,5,15,55,00,5,00,0,0,2 0 0 
067031002 440,5,5,10,05,15,5,03,5,0,0 0 0 
066記入無し 530,5,5, 5,05,55,5,53,5,0,5 0 0編入生
066836616 390,0,5, 5,51,35,5,03,5,0,2 0 0 
065733705 400,5,0,10,05,12,0,03,0,5,0 5 4 
065430422 505,3,5, 5,04,45,1,53,5,0,5 0 0 
064777728 390,3,3, 5,05,55,5,53,0,0,0 0 0 
064718240 400,5,2,15,05,05,1,23,0,0,2 0 0 
064580725 460,4,0, 5,55,45,5,53,0,0,5 0 0 
064425312 390,3,5, 5,55,42,5,03,0,0,2 0 0 
064155300 425,3,0,10,05,05,5,13,0,0,5 0 0 
064001237 480,3,5, 5,04,05,5,05,5,0,110 0編入生
062151114 350,0,0, 0,05,55,5,53,5,0,2 0 0 
062101713 445,5,0,10,05,55,1,03,0,0,5 0 0 
061830924 380,0,1,10,05,05,5,03,5,4,0 0 0 
061200012 570,5,5,10,55,05,5,53,4,0,5 0 0 
061123017 390,4,0,10,05,15,5,13,5,0,0 0 0 
059841217 340,3,5, 5,55,31,1,13,0,0,2 0 0 
059840519 435,5,5,10,55,00,0,10,5,0,2 0 0 
059198208 380,0,0, 5,05,05,5,03,5,4,0 0 6 
057004660 443,0,5, 5,55,05,5,05,1,0,5 0 0 
056040157 420,3,0,10,05,05,5,03,0,0,5 6 0 
055221856 330,5,5, 0,05,05,5,53,0,0,0 0 0 
055202503 330,3,5, 5,05,20,0,23,0,0,5 0 3 
054114048 300,2,0, 0,55,15,1,03,5,0,0 3 0 
051729917 425,5,3, 5,05,05,5,12,5,0,1 0 0 
051580621 270,0,0, 0,05,15,1,55,0,0,5 0 0 
051444422 280,4,5, 5,05,05,1,03,0,0,0 0 0 
051191769 380,0,0, 5,05,55,5,53,0,0,5 0 0 
051000000 270,0,0,10,05,05,5,00,0,0,2 0 0 
050850122 300,3,5, 5,05,05,1,10,5,0,0 0 0 
049228340 270,0,0, 5,05,05,5,50,0,0,2 0 0 
048110094 300,3,0, 5,05,15,1,53,0,0,2 0 0 
047840621 340,3,0,10,55,00,5,13,0,0,2 0 0 
047160584 250,0,0, 0,05,15,1,03,5,0,5 0 0 
046830826 340,0,0, 0,05,45,5,23,5,0,5 0 0 
046419766 350,3,0, 5,55,05,5,23,0,1,1 0 0 
046123457 280,0,3, 5,55,00,5,03,0,0,2 0 0 
045608898 285,0,0, 5,05,15,5,00,0,0,2 0 0 
043825759 250,0,5, 0,05,00,5,05,5,0,0 0 0 
043198541 220,0,0, 0,05,15,0,13,0,0,5 0 2 
043031031 220,0,0, 0,04,15,5,03,0,0,2 2 0 
039不可312588 225,0,0, 5,05,01,5,00,0,0,0 1 0 
037不可171981 240,0,0, 5,05,05,5,03,0,1,0 0 0編入生
035不可180311 100,0,5, 0,05,00,0,00,0,0,0 0 0 
034不可010001 160,0,0, 0,05,05,5,00,0,0,0 0 1 
033不可198491 160,0,0, 0,05,50,0,00,5,0,0 0 1 
032不可580908 180,0,0, 0,05,05,5,03,0,0,0 0 0 
028不可821219 180,0,0, 0,04,05,1,03,0,0,5 0 0 
028不可722822 145,0,5, 0,01,00,0,03,0,0,0 0 0 
028不可631012 235,3,5,10,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
015不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
012不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
011不可966184 70,0,0, 0,05,10,0,10,0,0,0 0 0 
008不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
008不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
007不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 
000不可未受験 00,0,0, 0,00,00,0,00,0,0,0 0 0 

総合点は,試験得点に, 「レポート点」と「メイルによるレポート点」と 「模擬試験の日の出席点」を加算したものです.

今年は,「〜〜について説明せよ」と単に概念を説明させる問題を避け, その概念が理解できてるかを間接的に問う問題としてみました. 例えば,最後の問題(問題6)が,その典型です. 試験時間が限られていることもあって,問題6に手がつけられなかった人も多かったようですが, 問題6は「信号処理」で学ぶ複数の重要概念の集大成ともいえる問題ですので, もう一度,じっくりとりくんでみて下さい.

【評価の境界について】 「不可」 の境界は,単に総合点の切れのよいところ(点数間隔のあいているところ)に 設定しているわけではありません. 試験の各問に対する解答状況,レポートの提出状況,模擬試験日の出欠など, 総合点の構成する中身を吟味し,場合によっては,境界付近の人の解答用紙を取り出して検討し, 慎重に決定しています.その結果,各評価は以下のような割合になりました.

秀:11人 ( 9.9%)優:30人 (27.0%)良:28人 (25.0%)可:17人 (15.0%)不可(期末試験放棄者を含む.履修取り消し者は含まず):25人 (23.0%)

#好きな数字(6桁)には,重複はありませんでした. なお,数字を書くように指定したにもかかわらずアルファベットを混ぜてしまった人がいました. アルファベットは数字の8に置き換えてあります.

★★★★★★★ 各問題に関してのコメント ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【問題1】不規則信号論

(1) x(t)もy(t)も有限の時間区間でしか測定されていませんので, 全ての積分範囲において,この時間区間のデータのみを使うように式を工夫する必要があります. 講義の最後の時間に配った練習問題集の解答例に載っているように,例えば場合わけして 2つの式で表現するなどしなければなりません.

(2) 模擬試験で考えてもらった「位置関係」の考察を,もう少し定量的に出題してみたものです. 問題に音速が書いてありますので,L(PA,PX)>L(PA,PY) のように大小関係だけ答えるのでは不足です. 距離差を定量的に答えて欲しいところです.

(3) これも模擬試験で考えてもらった観点を,そのまま出題したものです.

(4) 図4は,実際の実験データから作ったもので,正しいデータです. 他の,図5,6,7は全て矛盾があります. 図6と図7がありえないことは,比較的わかりやすいのですが, 図5の矛盾をつくのは,ちょっと難しかったかもしれません. 図5におけるφxx(0)の大きさが,図2と図3のピークの値から考えうるφxx(0)の大きさとしては 小さすぎるというのが,ありえない理由です.しかし,ここに気付いた人は1人もいませんでした. 「DはYよりもXに近いから,φxx(0)>φyy(0)であるはずだ.だから矛盾」として 図5をあげた人が何人かいました.マイクロホンの指向特性によっては,必ずしも矛盾とは言えない (すなわち,近くても入射角度によっては信号が弱くなることがありうる)のですが, 考え自体は合理的でなかなか良い着想だと思いましたので,これも正解としました. なお,図5をあげるのは「非常に難しい」ので,図6と図7を正しい理由であげることができれば 満点を差し上げています.したがって,図5,6,7をちゃんとした理由をつけてあげることができた人には, ボーナスポイントの5点が加算されて15点得ています.

(5) 図1と図2の和の波形を書けばOKです.微妙な波形を書いた人で,本当ならわかっていたという 人もいたかもしれませんが,試験時間中に,「補助線を書くなり,根拠を文章で書くなりするように」と おすすめしましたので,微妙な波形で説明の無いものは0点とさせて頂きました. わかっていたのに0点になってしまった人がいたら,以上の状況をご理解頂ければ幸いです.

【問題2】z変換

2問ありましたが,どちらもレポートで解いてもらった問題と類似しているものです. 間違えてしまった人は,ぜひ,復習して下さい. 特に(2)は,よくある問題ですので,この機会にマスターしておくこと.

【問題3】逆z変換

(1)は非常に易しい問題.易しすぎて,むしろ勘違いして,ひっかかってしまった人がいたかもしれません.

(2)は,最も普通のシンプルな問題.これを間違った人て単位を取得してしまった人は, なぜ間違ったかを確認しておくこと.

(3)は,計算が面倒ですが,時間さえかければ問題ないでしょう. レポートで出題した,過去にも未来にも非ゼロ値が続く系列よりは計算が簡単なはずです.

【問題4】ディジタルフィルタ

(1) 極と零点を知っただけでは,伝達関数は決まりません! 定数倍の不確定性が残ります.その不確定性をH(1)=1という条件から決めてもらうという問題. このことに気付いた人が,たった5人しかいなかったのは残念.

(2) 今回は,「単位円上に零点がない」だけでも満点としました.

(3) レポートで計算してもらった逆z変換の問題と本質的に同じです.レポートを自力でやった人に なんとか良い点を取ってもらいたくて,こういう問題を出題するわけです.

(4) 定数乗算部の符号を間違ってしまった人が,結構多かった.こういうつまらないミスをおかすようだと, いつもデバッグばかりやっている人になってしまい,卒研や大学院での研究の時間が有効に過ごせないかもしれません. こういう作業は,一発で間違わずに出来るよう,修行しましょう.それには,第一に練習,第二に集中力を高める訓練です.

【問題5】収束領域

同じH(z)であっても,違う収束領域に対しては,違う時系列xnが対応するとういうことは, 授業中でも強調したところです.そのことを理解して頂けたか,こんな形で出題してみました.

【問題6】不規則信号論

以下の重要な観点(A)〜(E)を網羅した総合問題です.

(A) ガウス性不規則信号の確率法則は,パワースペクトル密度だけで決まるということ.

(B) 線形シフト不変システムで,パワースペクトル密度はどのような変形を受けるか. 具体的には,入力x,出力yに対し,Φyy(ω)=|H(ω)|^2 Φxx(ω) という式.

(C) パワースペクトル密度を推定するには,標本のパワースペクトルを求めるのでは駄目で, ピリオドグラム法やBlackman-Tukey法など,平均化作用のある方法を使う必要があること.

(D) インパルス応答は,伝達関数の逆フーリエ変換であること.

(E) インパルス応答がわかっていて,それをFIRフィルタで近似的に実現するには, 単にインパルス応答を有限個に切り落としてしまうのではなく,ウインドウを使うのが良いこと.

問題6は,今回の試験の目玉のつもりでしたが,試験時間が足りなかったせいか,手をつけてくれた人が少なかったのは残念でした. そんな中で,8点以上とれた人は,信号処理の世界が良く見えている人だと思います.自信をもって良いでしょう.


2005年の「信号処理論(Bコース)」の試験結果と成績の速報は, こちら.

2004年の「信号処理論(Aコース)」の試験結果と成績の速報は, こちら.

2004年の「信号処理論(Bコース)」の試験結果と成績の速報は, こちら.

2003年度の「信号処理論(Aコース)」の試験結果と成績は, こちら.

2003年度の「信号処理論(Bコース)」の試験結果と成績は, こちら.

2002年度の「信号処理論(Aコース)」の試験結果と成績は, こちら.

2002年度の「信号処理論(Bコース)」の試験結果と成績は, こちら.